エピソード

【25話】壊れてしまった常識

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880万年...。
この数字からこの物語は始まります。
第1話はこちらからご覧ください。

お金の価値の違い

風俗業界で働く事には罪はありません。
一生懸命生きるすべとして選択した事です。
そのおかげでやっと生きていける人もいるでしょうし、私の様に借金やらいろいろな費用をそこで賄えた事で困難を乗り切れた人も居てる事でしょう。
ひたむきに生きていて、絶対にこの先には幸せになってほしいなと、他人ながら思えた人も私は沢山知り合う事が出来ましたが、それとは全く逆の人も同じように沢山いたのも事実です。
前回にお話しさせてもらった様に、詐欺まがいの事を当然のようにする人も、もしかしたら風俗業界ではなくてもいると思います。
しかし私はそんな事をする人を近くで見たのが風俗業界が初めてでしたし、お金に対してのプライドが無さ過ぎて、それを見たのは入店後数年経過していましたがカルチャーショックを受けました。
段々、色んな事が目につきだしました。

生活保護の不正受給

私の家の債務整理の目途もつき、その先には私達家族の苦境のゴールが見えてきたような感じがしました。
長男も入学させ、とりあえず一段楽していた状況だったので、そこでの気が張った感覚がなかったからでしょうか、店での人たちのちょっとした話や、今までならスルーしてきた世間話などやたらと聞こえて来る様になりました。
気にしない様に気をつけてはいましたが、どうしても我慢できない話も聞こえてきます…。
まず1番多いのが生活保護の不正受給です。
凄い割合で受給している人が多かったです。
男性スタッフも含め母子家庭のシングルマザーや1人暮らしの女の子もです。
確定申告をすることが余りない業界ですし、給料明細を見ても所得税などは引かれておらず、店側から引かれるのは雑費、迷惑料、罰金などです。
なので非課税になり、申請は楽だったのかもしれません。
1人がその知恵を出し、連鎖していくような形だったのでしょう。
間違いなくそれも詐欺にあたります。
生活保護を受けるには、働けない事を前提に役所に申請するのですが、いろんな方面からの経済状況を見られます。
家に確認の連絡もされますし訪問もあるようですが、夜から勤務する者としてはその対応も楽なんだと聞きました。
お役所の人は大体が5時までしか仕事をしないという事ですし、たしかに家に調査に来られても何ら困ることはありません。
そして普段から心療内科に通い、精神疾患が理由で働けないと偽り、出してもらった薬をみせたら概申請が通るという事でした。
生活保護が悪いという事ではなく、罪の意識が無く貰えるものは貰っておくという様な、そんな感覚が私にとってはあり得ない事でした。
それを悪びれる事無く大きな声で話をしている事が、悲しく感じます。
何故なら生活保護で貰えるお金は、恐らくセクキャバで働くお給料と比較したら微々たるものです。
キャストの女の子なら稼ごうと思えば1日で稼ぎだせる金額です。
それを貰えるものなら貰っておこうとう気持ちで申請している人たちが、物凄く卑しい人に私の眼には映りました。
病院の受診も生活保護を受けている人は負担が無いので、精神安定剤らしき薬を大量に貰い、寝れないといい睡眠薬を貰い、虫に刺されても皮膚科に行き、性病になっても抗生物質の薬も貰い、もうきりがありません。
「そんな事してたらアカンよ~」
私が言えるのはそこまでです。
自分の子供だったら、自分の恋人なら、自分の友達ならぜったに止めるのですが、そんな事すら言ってくれる人が居ないのかとも、悲しくなってしまいました。

余裕が出来て見えたもの

母子手当を貰うのにも、沢山の不正の話を聞きました。
生活費を負担してくれる人が居たら母子手当も減額されたり、無くなってしまったりします。
一緒に住む彼氏がいても存在を隠し、結婚をしたくても内縁を貫きます。
そして母親の収入によって手当は無い様な事にもなります。
風俗でレギュラーで働いていて、そこそこ成績を残せていたら普通のサラリーマンよりは手取りはあるはずです。
それが搾取をされていてもです。
それを夜に働いている事を隠し、精神疾患を装い合わせて生活保護まで受けているシングルマザーも1人や2人ではありませんでした。
それが生きる為と言えばそうかもしれませんが、営業の終わった後に夜な夜なホストクラブに遊びに行き、ハイブランドのバッグを持っての話なので、生活の為の生活保護、1人親の手当と言われても、普通の感覚を持ち合わせている人なら、そういう人とは関わりたくないと思うのが普通です。
きちんと注意をしてくれる人も指摘をしてくれる人も居ないので、罪の意識も無いまま当たり前の事のようにしていて、私にとっては違和感でしかありませんでした。
そうなってしまったのには理由があったのかもしれませんが、やはり見ていて気持ちの良いものではありません。
そういう不正を働いてる人達には、このセクキャバで働いてた目標があるのかなとも思いました。
生活の為や借金の返済、留学資金や学費など、皆それぞれの夢や目標を達成するための手段として働いているはずだと思っていたので、そんな人が同じ職場で働いている事にも苦痛を感じました。
同じにされたくないと、心の底から思っていました。

壊れた常識

「見てみて~この前な、彼氏と遊びにいってん。」
ある女の子が、待機中に写真を見せて来てくれました。
「有馬温泉いってん。めっちゃ良さそうな旅館やってん。」
一見普通の女の子なのですが彼氏というのは、働くセクキャバの近所の店のホストらしく、そのホストの要望で、露天風呂付の部屋がある温泉旅館に行ったという事でした。
それ自体全然悪い事でもありませんが、彼女の話によると彼女の勤務が終わると、そのホストが働く店に会いに行かないとそのホストは翌日電話を無視してくるらしく、夜な夜なホストクラブに通うようにしていると彼女は話をしていました。
しかも彼女の給料日と生活保護のお金が振り込まれる日には、高めのお酒を下ろさないと別れようって言われる、そんな事を彼女は話し始めました。
「そんなん彼氏じゃないやんか~。」
素直な私の感想を言うと彼女は一瞬顔が強張りました。
「ホストだって彼女作ることあるねんで。偏見はあるけどホストの彼女は皆そうやって彼氏を支えるもんやねん。」
私は何も言う事が出来ませんでした。
彼女は普通の判断が出来ないうえ、生活保護を貰ってホストに貢いでいる事に対して、罪悪感の欠片もない・・・。
たまたまその日隣に座っただけの私に話をしてこれるのでしょう。
彼女の年齢は恐らく20代前半。
まだまだこれからの人生を良い方に選択していけるのに、そんな事になってしまったのは、風俗業界で色んな人から色んな良くない知識をつけられ、高額なバイトのお給料があるがっばかりに、ホスト遊びを覚えてしまって、生活保護を受給する為の方法を誰かに教えてもらったのが原因な訳なのでしょう。
彼女を育てたご両親は決してそんな事は教えたりしないでしょうし、バイト先がコンビニであればそんな事を入り知恵する人はいなかったはずです。
本来ならそんな事は駄目なんだと、話をしてあげる事も人としては正解なのかもしれませんが、その時彼女はそんな話を必要としてなかったでしょうし、普通の感覚を持ち合わせていない事を彼女に私がしたところで反感を買うだけだと思いました。
この風俗業界にいたら外の世界との感覚のズレがあり、中々埋められる事は出来ない様に感じます。

若くして二児の母になった私は風俗の世界に飛び込む決断をしました。夜の世界の「光」と「影」を自身で経験しました。家族を守るため、風俗とともにがむしゃらに駆け抜けた6年間の濃密なコラムが皆様の元気に変わればと思い執筆活動を続けて行きますのでよろしくお願いします♪ Rie♡"

 
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