【さくらの場合 13】梅のように強くなりたい




風俗で働く女の子の物語。

あなたは彼女たちを批判する?

それとも共感?

今回は12人目のあたし。さくら。

1人目はこちらからご覧ください。

さくらの場合

なんとうなく春めいてきている。

送迎車はなにせプリウスなのでエンジンも静かだし、昼の日差しはがやばいくらいに遠慮なく差し込んできて天国に行ってしまいそうなほど、眠い。

「あーっ」

遠慮もなく大あくびをし大股を開いておーいお茶のペットボトルの蓋を開け、ごくごくと喉を鳴らして飲む。

「てゆうかさ、さくらさん」

ドライバーの高嶺くんがミラー越しにあたしの名前を呼ぶ。

なあに?高嶺くんは信号待ちを待ってから続けた。

「そんなにかわいい顔をして、守ってあげたいオーラをしているのに、どうして俺の前だとそんなに無防備になるんでしょうか?」

うん。確かにその通りだよ。高嶺くん。君の前だけは見栄を張らないで済む。

あたしはなにせ【か弱いさくらちゃん】を売っているのだ。

見た目も細いし、白し、貧血そうで、あたかも守ってあげなくてはいけない女子を貫いている。

「高嶺くんはね、特別なのよ」

ふふふ。別に特別でもないがそう告げてから笑った。

高嶺くんはデブで不細工なのだ。戦友ともゆえる。

「で、今からどこのホテルなのかしら?」

車は一号線を走っている。

「あ、自宅ですね、っと、後、少しで到着ですね」

「え?自宅なの?やだな」

閑散期に呼んでくれるのは誠にありがたいが、自宅は嫌いだ。

はぁ。あたしは本日3度目の嘆息を吐いた。

「えっと、ここの、エバンスB塔の101ですね。裏の自宅セットを持って行ってください」

後ろの荷物置き場にあるバックを引っ張り出す。バスタオルやらグリンスやらローションが入っている袋。

「あ、バスタオルきちんと洗ってありますから」

高嶺くんはそう付け足し、笑顔で「行ってらっしゃい〜」と、手をひらひらと振った。

「てきまーす」

とっても足取りが重い。だって、このアパートがオンボロだから。

それでも帰るわけにはいかない。101号室の前に立って、チャムを鳴らす。

《ジー》

え?ピンポンとかじゃないんだ。今時《ジー》とかさ、ある?

あたしはケラケラと肩を上下させ笑ってしまった。

「はい」

ドアが開いて、笑っているあたしを見たお客さんは首をかしげつつ、部屋に促した。

「どうぞ」

「お邪魔しまーす」

お客さんはとても大人しそうなお兄さんだった。あたしは25歳なのでそのプラス5歳くらい。

「わ、細いね。華奢だし。折れそうだ」

目を細めながらお客さんは、90分でいいかな?と聞いてきた。

「ええ」

頷いて、お店にコールの電話を入れる。

お客さんは森さんと言い夜勤明けであたしを呼んで抜いた後、寝るといった。

「さくらちゃんっていう名前さ、本名じゃあないよね?」

当たり前だし。そう思いつつも鷹揚な口調で「源氏名よ」と答えた。

「そっか。でも、さくらって名前の通りにはかないそうな子だね。なんかさ、元気なさげだし」

「え?そ、そうかなぁ」

どうして会うお客さんが皆一様に同じ台詞を吐くのだろう。とても嫌だった。

あたしはもともと身体が弱い。ついでにメンタルも弱くて、普通の仕事が出来ないから風俗嬢をしている。

けれど風俗の仕事だって仕事だし、全然体力仕事だと思っているし、誰にでも出来ない仕事だとも思う。

あたしは風俗嬢という仕事に矜持を持っている。

身体が弱いがゆえ体調を見つつ仕事が出来、人との関わりの中でメンタルだってかなり強くなってきた。

風俗嬢という括りの中でしか生きれない女の子だって沢山いる。

それはそれでいいのだ。意思を持ってしていること。あたしたちは決して子供ではないのだから。

「あのさ、」

ぼーっとしていたら森さんの声がし、我にかえった。

「はい」

「桜の木ってね。とってもか弱いんだよ。毎年ね花を咲かせるけれど、本当は儚くて弱いんだ。さくらちゃんそのものだね」

「はぁ」

そうかもしれない。けれど、桜の木は永遠に強いって思っていた。

「でもね、梅の木は違うんだよ。梅の木は切っても切っても腐らない。とっても強い木なんだ。寒い中で花を咲かせるだろ。桜は切るな梅は切れみたいなことを昔、親父がいってたよ」

お父さんは去年亡くなったと話してくれた。梅の木のように強くなれ。そう言われ育ったとゆう。

「さくらちゃん、今度さ、改名するときあれは、『うめちゃん』にしなよ!」

あはは、まあ、そうね。考えておくわ。

森さんはさらっと抜いて、さらっと寝てしまった。部屋は存外綺麗で、爽やかな空気が部屋に充満している。

午後の日差しはやっぱり心地よくてあたしはさらに大あくびをした。

「よし!もっと強くなって、指名をとって、ナンバーワンになってやるぞ!」

強固な意思。

あたしはなにせ風俗とゆう仕事が好きで風俗の仕事があるおかげで生きている。もっと、強くならないといけないのだ。きっと。

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※風俗業界の中で働く女の子は皆強い意思と強い心があるの。風俗嬢は立派な仕事だと胸を張れることだからね。

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藤村 綾

風俗嬢歴20年の風俗嬢・風俗ライター。現在はデリヘル店に勤務。【ミリオン出版・俺の旅】内にて『ピンクの小部屋』コラム連載。趣味は読書。愛知県在住。