エピソード

【男子スタッフを好きになったしまった風俗嬢・ミナ】わかっているけど止められない恋

風俗嬢は男性ともっとも接する仕事けれど、実は出会いがない

風俗に携わっている仕事をしている女の子は大体彼氏がいない(そうとも言い切れないが)
やはり、常時男性と関わっている仕事なのでいちいち彼氏という呼称の位置付けの男性をつくるのが面倒くさいし、仕事のことも嘘をつかないとならないからでもあり、ましてや出会いがない。
出会いがないというのが彼氏がいない理由ぶっちぎりのナンバーワンである。
恋人をつくるために風俗嬢をしているわけではないし、お客さんは男性だが、どこまで行ってもお客さんであり、恋愛対象の男性にはなりえない。
例えば、コンビニに来るお客さんと同様である。
と、なると、風俗嬢は一体いつどこで誰と恋愛をするのだろう。
彼氏は面倒くさいが、欲しくないわけではない。
じゃあ、風俗嬢であることを理解してくれる異性になる。それはとても身近にいる。
そう、風俗店の男性スタッフである。
今回は以前同じお店にいた『ミナ』ちゃんがお店の男性スタッフを好きになってしまったお話を書きたいと思う。

お客さんではない男性が新鮮に見える

優しくしないで……。ミナちゃんはそう呟いた

ミナちゃん(仮名・27歳)はシングルマザーで2歳の女の子を育てていた。
そのような境遇の女の子が多いお店だったため、男性スタッフも真摯にお話を訊いてくれたし、女の子同士も仲がよかった。
ミナちゃんは贔屓目に見てもあまり綺麗な方ではなかったが、ややふっくらしていてマシュマロを彷彿させる雰囲気の癒し系の女の子だった。
風俗の仕事は生活のためと割り切ってしていたが、ある日たまたまついたお客さんに意地悪なことをいわれ、帰りの送迎車の中、声を押し殺して泣いてしまった。
そのときのドライバー(加藤さん・仮名)が、「どうした? なにかあったの?」と、遠慮がちに訊いてきた。
加藤さんは、基本電話受けだが、たまたまその日、忙しくて自分もドライバーとして稼働をしていた。
ミナちゃんはその日まで加藤さんはただのお店のスタッフだとしか思っていなかったが、半泣きで話をするミナちゃんの方に耳を傾け、そっか、そっか、と、頷いて真剣に訊いてくれる加藤さんにほんの少しだけ意識を持っていかれた。
待機場に戻ってきた頃には、曇っていた顔がパアッと明るくなり、加藤さんの方に向き直ってお礼を言った。
「訊いてくれてありがとうございます!」
精一杯の笑顔を向けた。
加藤さんはなんてことか、ミナちゃんの頭をぽんぽんと撫ぜ「いいや。いつでも愚痴訊くからさ。ミナちゃんがんばれ」と、壁ドンではないが、いかにも女がキュンとするようなことをさらっとやってのけた。
ミナちゃんはすっかり心をとらわれる。「優しくしないで…」ミナちゃんは心の中で呟いた。
まさに、風俗男子スタッフマジックである。

自分の境遇をわかってくれる

いくら顔が不細工であっても、風俗嬢はドライバーに「おつかれさま」と言われると、気が抜ける。
風俗の仕事をしてきてからの「おつかれさま」仕事に行ってきて帰ってきたとき「おつかれさま」の言葉をかけてくれるのって、ドライバー、あるいは風俗店のスタッフ以外いない。
なにせ、風俗嬢をしているのは秘密にしている女の子が多い中の「おつかれさま」である。
女の子は認められたと勘違いをする。
その勘違いはたまに「恋」? という勘違いすらおこすこともある。
今回のミナちゃんも「恋」と勘違いをした女の子だ。
毎日顔を合わすから余計に好きかも思ってしまい、いつの間にか本気になっていたりもする。
ミナちゃんの場合は加藤さんが既婚で真面目だったため、恋人関係には発展はしなかったが、スタッフを好きになり、あげく付き合ってしまう風俗嬢は結構いる。

風俗店スタッフとの恋愛はうまくいく、しかしオススメはしない

職場恋愛になる。
その昔は風俗嬢とスタッフとの恋愛は禁止だった。
罰金をいただきます。なんてことをうたっていた。
しかし、今現在はそれほどうるさくはない。
ドライバーと付き合っている女の子もいるし、店長と付き合っている女の子までいる。
嫉妬はないのだろうか?
風俗スタッフは風俗業を知り得ているがゆえ、立派なビシネスとして捉えている真面目な人がほとんどだ。
風俗店に勤務する男性スタッフは真面目な男性が多い。なので理解をしているのだ。
スタッフとの恋が気楽だと言った女の子も過去にいた。その子はスタッフと同棲をしたが、今現在はどうなっているかはわからない。
そして、やはり最後に付け加えておきたい。やはり職場恋愛は、どこの業界でもトラブルはつきものだ。
付き合っているがゆえ、付き合いが周りの子にバレたりすると、贔屓されていると勘違いされたり、嫉妬されたりと色々な弊害が起こる場合は少なくない。
しかも、もし別れたら?やはり気まずくなり女の子が退店する場合がほとんどなのだ。そういう未来を考えた上で、覚悟して付き合うなら誰も止める人はいないだろう。
色々あるけれど、お互いの境遇を知っているからうまくいく恋もある。出会いがどうであれ、自分のことを一番理解してくれる相手と出会いたいものである

風俗嬢歴20年の風俗嬢・風俗ライター。現在はデリヘル店に勤務。【ミリオン出版・俺の旅】内にて『ピンクの小部屋』コラム連載。趣味は読書。愛知県在住。

 
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