風俗を使う彼氏を許せた、たった1つの理由
同じお店の女の子は25歳。
彼氏がいるけれどお金のために、風俗の仕事をがんばっている。
まあ、彼氏がいるからがんばっているのかも知れないが。そこまで深いところまでは突っ込めない。そんなある日。
あゆみちゃん(仮名)が私にボソッと彼氏のことで相談があると、遠慮がちに声を潜め話を始めた。
「綾さん、あのね、彼氏がデリヘルを家に呼んだみたいなの」
あゆみちゃんの声はやや半泣きだった。私はなんと助言をしてよいか返答に窮した。
なにせ、私たちは、その彼氏が呼んだ同業者なのだ。あゆみちゃんは、かわいくて、性格もよく、お店の稼ぎ頭だ。
以前言っていたことを思い出す。彼氏が大好きで、大好きだからこの仕事が出来るんです。と。自分が風俗嬢だから、風俗がどんなサービスをするか無論知っているし、裸を見せ合い、舐められることに憤怒をしているとしか考えられない。
「そっか、でもね、あゆみちゃん。よく考えてみて。あゆみちゃんはお客さんのところへ行っても、裸を見せても、舐めても、割り切ってお金をもらって帰ってくるでしょ。
お客さんの方だって同じよ。お金を払っているのだから。浮気ではないわ。ただ、それが、あゆみちゃんの稼いだお金だったら、叱ってもいいと思うよ」
あゆみちゃんはしばらく考えてから、俯いて納得をした。
「そうね、何が一番腹がたったかっていうと、私の稼いだお金で呼んだからだわ。」
そう素直に応えた。
風俗嬢の仕事をしていなかったら、あゆみちゃんの怒りの矛先は違っただろう。風俗嬢だから痛いほどお客さんの気持ちがわかるのだ。あゆみちゃんは、彼氏を叱ったが、責めなかったと話す。それと共に、自分が風俗嬢をしていることへの罪悪感の方が勝ったと鷹揚な口調で話してくれた。
彼氏は元お客さん。彼氏が風俗を使うのは許せない理由
また同じお店の女の子。38歳の独身女性。やよいさん(仮名)の彼氏は元常連客だ。
何度も呼ばれるうちに恋に発展していったと話す。風俗嬢って出会いがないので、お客さんと出来てしまうこともたまに、いや、よくある。なにせ、出会いが風俗なだけであって、男と女。出会い系で出会うより、私は健全だと思慮する。やよいさんは元お客さんだった彼氏と同棲をし出したが、それでも風俗嬢を続けている。
「だって、出会いが出会いじゃない?辞めたら生活出来なくなるし、相手が私を養えるなんてまるで思えないの。だから向こうも好きなことやってって言ってあるわ」
饒舌に話すやよいさん。
「もし、彼氏が風俗嬢を呼んでいたらどうします?」
そう質問すると、毅然としていたやよいさんの顔色が曇った。
「嫌。それは許さないわ」
まさかの応えだった。
あゆみちゃんのケースとまるで反対の言葉だった。
あゆみちゃんは許すと言ったのに、やよいさんは許さないと豪語した。やはり自分が風俗嬢だし、風俗での出会いだったから信頼もなくそれと共に、また他の嬢が好きになるのでは?という心配があるから。
やよいさんは、きっとその元お客さんの彼氏が本当に好きなのだ。好きだからこそ、心配し、嫉妬に怯えるのだ。相手はもしかしたら遊びかもしれない。風俗好きな男性は、死ぬまで風俗好きだと訊くから。
やよいさんはそれでも今も同棲をしている。
あゆみちゃんもまだ彼氏には風俗嬢だということはバレてはいない。
【最後に】風俗に行く彼氏の気持ちが、分かってしまう私達の葛藤
風俗嬢という仕事は裸になるため、浮気か、浮気でないかと問われたら、浮気の部類になるのかもしれない。けれど、そこには「愛」がない。あるのは、「お金」だ。
お金で割り切っている以上、それ以上の感情も湧かないし、その場で終わることの方が多い。お客さんと恋に落ちるなんてことは稀だ。
彼氏が風俗へ行っている...その気持ちは、私達には分かるよね?
風俗嬢ならば、風俗に行ってしまう彼氏の気持ちが理解出来てしまう。
それも悲しいことだが、ある程度の嫉妬心くらいは残しておいていいと思う。身体だけ、浮気をしてきたのだから。
心の浮気は許せないが、身体の浮気は許せる風俗嬢ってある意味凄いと思う。それだけ男性の気持ちが分かるということだから。