エピソード

【53話】セクキャバを辞める決意

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880万円...。
この数字からこの物語は始まります。
第1話はこちらからご覧ください。

長男の一言

セクキャバに勤めながら主人の気持ちを盛り立てとうと、子供を一般家庭の子供と同じ様に育てようと奮闘し、その合間をぬってお客様に営業し、セクキャバではおこずかい稼ぎのOLのふりをし、そして家では上手くいきかけた家計の計算、セクキャバでは給料の計算をしながらの接客。
自分のやっている事が段々辛くなっていきました。
本来頼れるはずの私の両親も母は宗教活動、父は後妻のいいなりと自分が生まれて来たことすら、情けない気持ちになります。
生きるのがこんなに大変なんだとも思いました。
ぼんやり過ごしていたら下の子の幼稚園の入園は迫ってきますし、主人だって年齢を重ねたら再就職は難しくなります。
そして、絶対に思わなかった事を思うようになりました。
幼稚園入園の機会に子供を2人連れて、家を出ようか。
私はとうとう、そんな事を考えるようになりました。
ぜったにに避けたかった事ですが母の所に一時的に身を寄せて、母の自宅近くの幼稚園に転勤組のふりをして入園させてもらい、長男は小学校を転校となります。
心の底から行かせてあげたいと思った幼稚園を諦め、生きる為に母の近くの幼稚園にいかせるか…。
凄く考えました。
勿論私がそこまでいろいろと考えているなんて、主人は絶対に思ってはいなかったはずです。
主人の事が大切すぎて色々盲目的にやって来ましたが、私が主人の母親代わりみたいになっていることも私の違和感の原因でもありました。
夢は追いかけてほしい。
けど家族に迷惑が掛からない様にやってほしい。
これが正直な気持ちです。
自分のフィールドを探して、やりがいのある仕事にありつける時期を見守りながらセクキャバで時間稼ぎも限界がありました。
債務整理の支払いの手数料の支払いもまもなく終わります。
この頃を見計らって主人には動いてほしかった。
そして私は何より普通の主婦になりたかったのです。
この話をしたら母は飛んで喜んだでしょう。
自分の老後が寂しいものではなくなるので、きっと帰ってこいと言うはずでした。
離婚の文字が頭に浮かびます。
しかし引っかかるのは子供達の事。
長男は小学生です。
私が居ないと言う我慢をさせていた上、結果は両親の離婚だなんて、子供からしたらいい迷惑なはずです。
「お母さんとお父さん離れて暮らしたらどうする?」
長男に聞きました。長男はサッと顔色が変わりました。
もう小学生です。色んな事が分かる年頃です。
「離れて暮らさなくてもいいように、お父さんとお母さんに考えてもらう。」
長男はそう言いました。
全くその通り。
今している生活が嫌すぎて、やはり大切な問題から目をそらし、楽な方に逃げていた事を改めて思い知らされました。
お金を稼ぐ事の方が簡単で人を稼げる人間にする事の方の難しさから、私は逃げていたんだなと、長男によって気が付かされる事となりました。

セクキャバの引退準備

セクキャバをいつ引退しても大丈夫なように、通常の会社勤務ではないので気を付けないといけません。
主人に話をする前に、どんな感じでセクキャバ辞めるように持っていくかを考えなくてはなりませんでした。
以前あった嫌な風習はその頃はもうほとんどありませんでしたし、辞めるにあたって向こう数か月の売上を店側に払わなければいけないという事もありません。
だた私も数年務めた結果、顧客を相当持っていたのと個人で売り上げがそこそこあったので、少しややこしいかもしれないと警戒しないといけない部分がありました。
お客様に使って頂いた金額が大きくなればなるほど、お客様を切る事も難しくなる。
それはそれ、これはこれで店のキャストと客の間で済ませる事は間違いでは無いのですが、先月店に来て30万使って頂いて、翌月はもう退店していたとなると、お客様の心情はやはり穏やかではないでしょう。
例えば辞める事を先に伝えてしまっては、店に対して迷惑がかかりそうなものです。
店にとっては私が退店した後、店の在籍の女の子に指名を変えて欲しいのが1番の要望ですが、何十件とあるセクキャバの中で私が勤めていたセクキャバに絶対に行かなくてはいけない理由なんてありませんので、そこの調整はとても難しいところでした。
風俗業界でも、とくにセクキャバは店の顧客というよりは、女の子個人の客というスタンスで営業している所が多いと思います。
店側は場所を提供し、女の子の安全を守るというのが1番の仕事です。
しかし出来る限り店には迷惑が掛からない最善の方法で辞めたいと思っていました。
そのセクキャバでは過去には色んなトラブルや金銭の問題があったのですが、セクキャバで家庭の再建を実現しかけていること、子供達に親としてやるべき事をやってあげれたこと、少し先の将来を考えれる余裕ができたのも、セクキャバで働く事ができたからなのです。
店に対しては嫌な気持ちは全くありませんでした。
なので退店するにあたって迷惑が掛からないタイミングだけでした。
仲良くなった数少ない女の子数人には先に話をするとして、店にはやはり主人としっかり話をしてからだと思いました。

社会保障の不安

主人と色んな話し合いをしなくてはいけませんでした。
長男が言った「離れて暮らさなくてもいいように考えて」という言葉の通り、私は主人としっかり話す必要がありました。
主人との話し合いもしていない状態で、あれこれセクキャバを辞める方向で考えていたのは、下の子の入園と債務整理の手数料の支払いがもうすぐ終わると言う事で、生活を切り替えて行かなくてはならないと思っていたからです。
長男が段々色んな事が分かりだし、誤魔化しがきかなくなってきたのもあります。
どんな仕事でも誇りを持つことは素晴らしい事ですが、私にとっての風俗業界はいざという時のセーフティーネットでしたので、継続はしてはいけないとも思ったのです。
保証がない。
厚生年金、社会保健、役所で出してもらう収入証明や納税証明では、我が家の家は非課税世帯同然です。
子供の将来、私の将来、主人の将来を考えても、絶対このままでは良くないと思い始めていました。
結婚すればリセットできる様な独身の女の子が、ちょっと高額なお金を稼ぐのとは訳が違います。
そして幼稚園では最近、ニュースなどで無償化などと言われる様になりました。
下の子の時の幼稚園の補助は少し違います。
私立幼稚園には補助金の制度があります。
どの家庭にも自治体から補助金がでるのです。
その金額を自治体が調べて、幼稚園にまず家庭全員分を送金し、幼稚園から各家庭の収入に応じて振り分けて振り込みます。
振り分けの作業は幼稚園側がするので、幼稚園側は各家庭の収入をだいたいですが知ることになります。
非課税世帯には月謝が殆どもどってくるんじゃないかと思う位、補助金がでます。
記憶が確かでない部分もあるのですが年収700万以上の家庭は、満額が年間5万円だったと思います。
前年度の年収での振り込みになりますので、下の子の1年目の補助は満額戻ってくる計算。
それも私は下の子に申し訳ない気持ちになっていました。
家の経済状況を恥ずかしくない様にしてやりたい。
それもセクキャバを引退する決意をした理由のひとつでした。
主人のアルバイトで非課税世帯の年収100万円で、月額3万の幼稚園の月謝を払う事が不自然ですし、絶対に翌年には年収を上げて親としてしっかりしていかなくてはなりませんでした。

若くして二児の母になった私は風俗の世界に飛び込む決断をしました。夜の世界の「光」と「影」を自身で経験しました。家族を守るため、風俗とともにがむしゃらに駆け抜けた6年間の濃密なコラムが皆様の元気に変わればと思い執筆活動を続けて行きますのでよろしくお願いします♪ Rie♡"

 
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