エピソード

【12話】最悪な状況下での妊娠疑惑

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あ880万円...。
この数字からこの物語は始まります。
第1話はこちらからご覧ください。

仕事への罪悪感

風俗業界でお仕事をする女性でプライドを持ち、両親に包み隠さず言い、恋人や配偶者にも理解してもらえ、友達にも、隣近所の人にも仕事内容を言える人はどれだけいてるのでしょうか?
友達や隣近所の人と信頼関係が出来てくれば、その話題も普通に出てきます。
友達とご飯に行けば、「どんな、お仕事~?」と話題に上がる。
仲の良い友達も、主婦の友達のパート先ですら、聞かなくても話題になります。
ご近所のご主人のお勤め先、奥さんのパート先ですら立ち話の話題に。
私が風俗業界に入る前だったら、やはり友達が風俗業界で仕事をしているとなるとびっくりするでしょう。
何があったのか、あれこれ考えてしまうと思います。
近所でどこかの奥さんが風俗業界で仕事をしているとなると、瞬く間に噂にもなる事でしょう。
例え理由があっても、生活の為であっても、噂をする側には関係の無い事ですから、何の責任もなく噂話として色んな所で話される事でしょう。
「偉いよね。家族の為に頑張っているね~。」
「良い仕事よね。時間も短いし、時給も良いから効率的よね。素敵だね。」
「一生懸命にお仕事してるよね。沢山稼げるなんて、羨ましいわ~。」
とは、絶対に言ってはくれないのです。
なので、働く私としては働くだけで罪悪感があり、悪い事をしてお金を稼いでいるという、感覚になってしまいます。
その中で働き出すと、本当に一生懸命に働く女の子は多かったですし、私を含めちゃんとした理由もありました。
どうしても仕事として風俗業界を選択してしまった人に対して、お金に汚い、貞操観念が無い、恋人の事考えていない、子供が可哀そうと、思う人はいるでしょう。
だから、自ずと隠すしか方法はないのですがその隠す事にもだんだん疲れてきて、風俗業界で仕事をしていると働いていない時間の人間関係が面倒臭くなります。
実際私がそうでした。
何年も付き合いのある友達からの着信に出たくない、年賀状を書きたくない。
同窓会のお誘いにも行きたくない気持ちになり、そして実家の両親にも会いたくない、仲良くしていたご近所さんにも家の外で会いたくない、ママ友のランチ会なんてもってのほかです。
とにかく、喋りたくない気持ちでした。
会ってしまえば嘘をつかなくてはいけない事も子育て中には仕方なく、生きる為の仕事もそれが苦痛で仕方なくなります。
私は当時人間関係に自分で制限を付けて過ごしていました。
しかし子育て中なので、幼稚園の行事や子供が具合が悪くなった時の病院、どうしても避けれない家の外での付き合いがあり、とても苦しみました。

旦那の苦労。私の異変。

幼稚園や、病院での連絡先を書く覧に、
『お父様のお仕事連絡先』『お母さまのお仕事連絡先』これを記入することが出来ません。
ずっと携帯の番号を記入していました。
不甲斐ない気持ち、子供に申し訳ない気持ち、悪い事はしていないのに悪い事をしている気持ちです。
そしてその状態を主人は常に気にしてくれていて、随分協力して今でも感謝しきれないほどです。
幼稚園の参観、懇談、親子遠足、お互いの両親との付き合い、親戚付き合い、子供の病院の受診など多くを請け負ってくれるようになっていました。
それだけで私は恵まれていたのですが、私の代わりに主人が多くの嘘をつき、私が風俗業界から卒業した時に子供らが困らない様に今まで構築してきた人間関係を最低限保てるよう、一生懸命に頑張ってくれていました。
なので主人の五百円玉クラスの円形脱毛症は、その私から請負った見えない仕事が原因だったと確信できたのです。
私の仕事が風俗業界でなければ実家の両親にも、仲が良かった友達にも、色んな相談や協力が得れたはずです。
もう少し気を楽にして、私の子育てに協力してくれていたかもしれません。
それが出来ない状況で私の仕事を隠すために付かなくて良い嘘をつき、誤魔化しながら色んな事柄に接して行かなくてはなりませんでした。
風俗業界で直接働いてない主人も本当に大変だったのです。
債務整理や風俗業界での仕事は、私と主人しか知らない絶対的な秘密として生活をしていたので、私たち夫婦はいつもギリギリの精神状態でした。
私たち夫婦は当時、お互いが倒れ掛かって支えている状態でした。
その姿は共依存そのもの。
それでも私には主人が一番の理解者で、相談相手であり、子育て仲間であり、大切な旦那様でした。
そんな状況で、それでも私が債務整理の手数料を払う為、子供を育てる為、セクキャバで働いている真っ只中の時。
生理が止まっていることに気が付きました。

妊娠疑惑

前にもお話した通り、私が働いていたセクキャバは生理中でも普段通りに働かなければならず、お客様からのクレームは死刑宣告の様なもの。
生理中は気が張ってピリピリしていました。
それが月に1回来るわけですから、生理現象とはいえ言いようのないストレスがありました。
それが今月は無いとなると楽に過ごせるなとは思うものの、妊娠出産を経験した事のある私としては変な予感的なものが・・。
色々な事柄を抱えていたので十分気を付けてはいたのですが、もしかして妊娠?と生理が遅れた1週間後位から感じ始めました。
何か体調が変な感じになり異様な眠気、悪い顔色、化粧で隠せない程でした。
心当たりといえば絶対に主人な訳ですが、まさかなと言う感じと怖さもあり、中々検査してみる気にはなれません。
その頃の季節は秋で幼稚園の運動会が終わった頃。
疲れが出たのかなと思ったりもしてました。
しかし段々心配になってきて、主人にやっと打ち明ける事に。
いままでの妊娠を疑った時は、もっと嬉しそうに私も主人に話をしていました。
その時は自分たちの抱えているの物のせいで、妊娠・出産と順序良く行く訳がないと思いました。
明るい気持ちで話せない事の状況が物凄く辛かった事を、よく覚えています。
「もしかし、出来てしまったかも。」
私の話し方ですぐに主人は察した様子でした。
「うそやん、ほんまに?」
「うん。わからんけど明日検査薬買って調べてみるわ。」
「わかった。」
主人も妊娠を疑って打ち明けてきた今までとは違う、不安というか困った顔で返事をしていました。
状況が整っていない時の妊娠という事を私は今まで理解出来ずにいて、望まれない妊娠などこの世には無いと思っていました。
この時初めて妊娠したかもしれない不安という感覚を経験しました。

望まれない妊娠。結果は・・?

翌日下の子をベビーカーに乗せて検査薬を買いに行きました。
上の子供の時も下の子供の時も同じ様に検査薬を買いに行き、妊娠を確認してから産婦人科を受診していました。
今回も同じ様に検査薬を買うのに以前とは私の気持ちが随分異なります。
楽しむような弾むようなウキウキした気持ちが全くなく、検査薬を手に取りレジで清算している自分は落ち込んでいました。
悲しいような、不安で押しつぶされそうな気持ちです。
子供を授かるという事は喜ばしい事なのですが、私には手枷足枷が付いている現実。
大黒柱として風俗で働いている私にとっては、大手を挙げて喜べない現実でした。

若くして二児の母になった私は風俗の世界に飛び込む決断をしました。夜の世界の「光」と「影」を自身で経験しました。家族を守るため、風俗とともにがむしゃらに駆け抜けた6年間の濃密なコラムが皆様の元気に変わればと思い執筆活動を続けて行きますのでよろしくお願いします♪ Rie♡"

 
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