エピソード

【34話】自分のことを話せる人にやっと出会えた

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880万年...。
この数字からこの物語は始まります。
第1話はこちらからご覧ください。

楽な気持ちと不安な気持ち

友達のご主人のお葬式の帰りの道中、二人の子供たちは寝てしまっていました。
私と主人は何となく同じような重たい気持ちだったと思います。
死んでしまいたいくらい悲しい思いをして、それでも何とか日々をこなすように生きていた感覚だった私が、現実に死んでしまった人を見て、こなすように生きるのが勿体ないなと、思いました。
セクキャバでの勤務はそんなに辛い仕事では無くなっていましたが、それと引き換えに失ったものの大きさに辛さを感じていてます。
一見仲の良さそうな夫婦で家族でしたが、内情を知ってしまった人がいたらきっと、私の主人は体たらくで甲斐性なしで、私のヒモ状態ですし子供は夫婦の被害者に見えるでしょう。
いくら夫婦、家族が理解し合っていても、こんな家族の形は誰も認めてはくれないとも思っていたので、それを隠すかのように体裁を整える為に走り続ける事が正解なのか?とも感じ始めていました。
債務整理の手数料の払い込みが近づいていくにつれ、もうすぐ解放されるという楽な気持ちと不安な気持ちがありました。
主人に関しては手数料を払い終えると、減額してもらった金額を会社ごとに毎月支払っていきます。
私に関しては手数料を支払った時点で借金は0に。
その後はただ破産した人になってしまいます。
破産は手続きの開始の時と、破産の免責許可が下りた時の2回に渡ってそれぞれ住所と名前が官報という日本国が発行している機関誌に載ります。
それを見る人は限られた人だけですが、最近はインターネットでも発行してから30日以内のものは見ることが出来るようになり、普通に生活していれば馴染みのないものですが、名前や住所が載るという事も、私にはため息の出てしまう一因でした。
なんだかそれを隠してコソコソ生活しなくてはならない気にもなっていました。

親のために

その頃からセクキャバで私と同じくらい長く勤務する、少し年上の女の子と良く喋るようになりました。
屈託なくざっくばらんな雰囲気の女の子で、色々な自分の話をしてくれます。
まだ実家暮らしだったのですが、実家は裕福な訳ではなく、お父さんが仕事していなくて、お母さんがパートに出ていると。
そしてお父さんを見ていて可哀そうだから、家にお金も沢山入れたいし、わたしも遊ぶお金も欲しいし。
と、そんな話をしていました。そんな話の中で、
「あのな、クレジットカードの使い方って知ってた?」
そう聞かれました。
勿論知っています。
その女の子は18歳になって、クレジットカードを色んな所でつ作りませんか?言われ言われるがままに沢山つっくたのはいいけど、お店で買い物をし、クレジットカードを利用したままで、支払わないといけない事を知らなかったと、私に真顔で言いました。
何枚ものクレジットカードを利用したままほったらかして、支払いもせずそのままにしてたら凄い金額の請求がきて、それをお母さんが見つけて凄く怒られたらしく、その返済もお母さんが管理の下、今はしていると話をしていました。
お母さんに迷惑かけたから、お母さんを幸せにしたいねん。
お父さんが大好きやから、お父さんを幸せにしたいねん。
その女の子はいつも言うのですが、私は不思議でした。
夜な夜な仕事の為に出かけて酒臭くなって帰宅する娘を見て、間違いなく普通の仕事はしていないと親なら気が付かないのだろうか。
それでもって、家に20万は入れていると彼女は話をしていたのですが、どうして親は受け取るのだろうと、それも凄く不思議に思っていました。
「私、結婚するならな、私のお母さんもお父さんも大事にしてくれる人がいい。それまでは私がお母さんとお父さんを大切にしたいねん。」
立派な言葉に聞こえますが、わたしは少し不気味に感じてしまいました。
成人した子供にぶら下がって生きている両親なんだと、私は彼女が気の毒に思ってきました。

カミングアウト

カードの利用方法すら教えずに娘を社会に送り出した両親が、風俗業界で働いたお金を貰い、お父さん無職、お母さん週に数回のパートってどうなんだろうと思いました。
私にも親がいますが子供もいましたので、どっちの立場でも色んな事が考えられます。
その彼女の両親が全部を知らないとはいえ、20万ものお金を娘から貰っていたら普通の事務の仕事ではない事くらいは分かりそうなものです。
彼女本人も、両親にたっぷりとお金を渡すために自分が裸になっている不自然に気が付ていない様でした。
でもその彼女の性格はとても明るく、物事を真っすぐみれる純粋な魅力的な女の子だったので、沢山お客様は付いていて、成績もお店の上位にいつもランキングしていました。
わたも彼女の真っすぐな性格に本当に魅力を感じていて、私にもセクキャバでの世界で息抜きが欲しかったのか、彼女には結婚している事、子供が居る事、話そうとやっと思えるような人でした。
そうすれば私自身のハラハラも、罪悪感も軽減されるかなとも思いました。
「え~っ。びっくりした‼」
勿論彼女は驚いていましたが、どうしてセクキャバで働いているのか等の質問は気を使ったのか聞いてきませんでした。
その部分も、優しいなと本当に思いました。
そしたら彼女も私に告白してきました。
「実は、私バツ1やねん。私10代の頃結婚して凄いお金持ちの人と結婚してんけど、すっごいお姑さんにいじめられて・・・。
家にお金もあったらしくて、やから旦那は仕事しなくてもいいって姑さんに言われていたらしいの。
けどその家がびっくりするくらいケチでね、卵1個私が食べて無くなっても、ちょっとしたお菓子を1個食べても30分はお説教されるような家やってな。
1年も我慢できずに逃げ出してん。」
彼女の屈託の無い優しさは、そんな苦労が作り上げたものなんだと思いました。
そして親の為に今セクキャバで仕事しているのも、出戻ったという後ろめたさも手伝っているのかもしれないとも、感じました。

緩んでしまったキャスト達

セクキャバでの責任者の人は、この頃もまだ奮闘をしていました。
男性スタッフに今までは貢いで良いお客様を回してもらっていた人や、色管理され、その指示のもと動いていた人達はかなりの人数は居なくなりましたが、まだ完全には入れ替えもできてはいません。
そんなキャストが1人でもお店にいると、責任者としてはやりにくい部分もあったようでした。
空気は以前とは全く違うものでしたが、そのフラットな平等な環境で勝負できるキャストは限られていた様子。
色管理されなければ売り上げが取れないキャスト。
貢ぐ相手が居なければお給料もらっても意味がないと、指名を取らなくなったキャスト。
迷惑料を取らなければ自己管理が出来ないキャスト。
罰金を取らなければ、遅刻ばかりするキャストや、当日電話1本で簡単に休むキャスト。
お客様も呼ばす、待機の場所でずっとスマホでゲームをし、時給だけを稼いで帰るキャスト。
こんな人が目立ち始めました。
そうなれば当たり前に店全体の売上は下がってきます。
仕方の無い事ですが、女の子にとって有難い環境はお店に感謝するどころか、女の子のやりたい放題となって行きました。
子供が熱を出しても今までならどのキャストも、何とか親に頼むなり、友人に頼むなりして頑張って出勤できるように工夫する。
待機している時間をカットされない為に、それまでは待機の席でお客様とコンタクトをとり、必死に営業を仕掛ける。
そんな事を一切しなくてもペナルティーが無いので、キャストの働きが段々悪くなって行きました。

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若くして二児の母になった私は風俗の世界に飛び込む決断をしました。夜の世界の「光」と「影」を自身で経験しました。家族を守るため、風俗とともにがむしゃらに駆け抜けた6年間の濃密なコラムが皆様の元気に変わればと思い執筆活動を続けて行きますのでよろしくお願いします♪ Rie♡"

 
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