エピソード

【49話】最悪なバレンタイン。

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880万円...。
この数字からこの物語は始まります。
第1話はこちらからご覧ください。

セクキャバ嬢としてのバレンタイン

下の子の入園の準備も整い、挨拶の仕方を教えたり持ち物である上靴、体操服、制服や靴下に名前を書いたり、そんな楽しい時間を過ごすと同時に、私にとっては苦痛でしかないバレンタインがやってこようとしていました。
それまで風俗で働いていた年数分バレンタインは経験していますが、毎年本当に苦痛です。
主人には一緒に食べたい普段買わないようなチョコレートとプレゼントを渡します。
子供達には可愛らしい車や、動物のチョコレートとケーキを焼いたりしていました。
それは愛する人に渡すものなので、わくわくした気持ちで喜ぶ顔を想像して楽しい買い物です。
そのバレンタインを営業として大いに利用しないと勿体ないのが、私の知る風俗業界のバレンタインでした。
数回経験したらこんなものかと慣れては来ましたが、最初のバレンタインは心底驚きました。

チョコレートの営業力

主人にはそこそこ高級なチョコレートを買える様になって、子供達にも値段より買ってあげたら喜びそうなチョコレートを買える様になり、働き始めた頃に比べたら我が家の財政もマシにはなっていました。
毎年バレンタインになると、セクキャバで働き始めた最初の年のバレンタインを思い出します。
バレンタイン当日に当時No.1だった女の子がいたのですが、デパートの紙袋に高級チョコレートが溢れんばかりに入っていました。
入店して数か月の私は来店予定のお客様に2000円程のチョコレートを3つほどをもって来ていたのですが、私が持ってきたチョコレートを彼女は見て、
「アカンやんか~。ちゃんと仕事しないと。今時ネットで値段わかるし、それはアカンよ~。」
そういわれたのです。
出勤日がたまたまバレンタインという、そんな軽い気持ちだったのですが彼女は違いました。
「お客様に感謝するにせよ営業にせよ、適当に選んだとバレるようなチョコレートを渡す事は自分の為にはならないよ。」
そう言われたのです。
彼女が教えてくれた事はお客様がどんな物が嬉しいか、高級志向のチョコレートが喜ぶのか、家庭があるお客様なら持って帰っても不自然じゃないものか、そんな事まで考えて1人1人考えた上で、お客様がいつも店で使うであろう金額の1割の金額位が目安。
そう私に教えてくれました。
確かにそんな彼女はバレンタインにわんさかお客様が押しかけ、翌月のホワイトデーもお客様が押しかけ、普段より数割増の金額をお客様は使っていました。
それを最初の年に見てしまってからは、私も真似をしなければと。
そしてそれが義務になり、バレンタインはとても神経の使うイベントになっていました。
いつも綺麗なスーツを着ているインテリっぽいお客様には高級チョコレートを、家庭を持っているお客様には、持ち帰っても不自然では無い様な義理チョコっぽいものを、お酒が好きなお客様には調べ尽くしてウイスキーボンボンを購入しました。
ざっとバレンタインチョコレートだけでも10万以上を使うという・・・。
その代わりホワイトデーには数割増の売上とバックや、時計・アクセサリーがお返しのお菓子と一緒に届きます。
そしてスタッフにも全員にチョコレートを配りました。
お給料の搾取をされていた時は余計に気を使ってましたが、それが無くなってもスタッフにそこそこのチョコレートを配り、出来るだけ良さそうなお客様に付かせてもらえる様にと、営業をしていました。
このマメな作業はおおざっぱな私には大変苦痛だったのですが、お給料の為と割り切っするしかなかった様に思います。

彼女の入籍日

そんなバレンタインも彼女は普段通り出勤し、彼女も私も数年セクキャバという場所でバレンタインを過ごしているので、大きな紙袋を持ち出勤しました。
お互いの紙袋を見て笑ってしまう程、紙袋からチョコレートが溢れている具合でした。
「あっ、私、今日入籍してきてん。結婚式はまだやねんけどな~。」
「そうなん?バレンタインに入籍っていいな。素敵やな。」
「なんか好きかとか結婚したいかとか、考えたら分からんようになってきて。けどこのまま後にも引けない感じやしもういいかなって。お母さんの事や、店と両立とか考えるのも面倒になって。」
「?…好きじゃなかったの?」
「好きやねんけど、それは私の両親を大切にしてくれそうやから好きって、思うねんな。そこは感謝もあるし。とりあえず、店は辞めないで、結婚生活もできそうやし。」
「専業主婦になれそうやったのに?いいの?」
「お母さんには、まとまったお金を渡してんけど、ほんまにそれで困らないかとか、お父さんも心配やし。やっぱりお金は渡していった方が、私が安心やなって。」
話をまとめると彼女のお母さんは娘の幸せを喜べない、それより自分の心配をしているとう様子が伺えました。
彼女もそれに気が付いていたのでしょうが、母親の事が大好きなので気が付かないフリをしていたのでしょう。
見ていて痛々しいものがありました。
そんな話をしているうちに、私にも彼女にも予定のお客様が来店し、途中で話が終わってしまいました。

彼女の異変

出勤してから2時間位経過した頃。
私が接客の合間にトイレに行こうとしたら、走ってトイレに駆け込んでいく彼女を見かけました。
普段より忙しい日ですし、随分とお酒も飲んでいたようだったので、気持ち悪いのかな?と、それ位に思っていたのですが、一向にトイレから出てきません。
15分くらいして、ノックして彼女を呼んでみました。
「大丈夫~?」
「大丈夫…。ちょっと気持ち悪くて…。」
彼女は青い顔をしてトイレから出て来たのですが、足元もフラフラで飲みすぎても絶対にそんな事にはならないような状態。
心配な気持ちが大きくなりました。
確かに普段より数倍のお酒も入ってましたし、2時間の間に5人以上のお客様を捌いていました。
飛ばしすぎたのかな?という位に思っていたのですが、客席に戻った彼女は明らかに目がうつろで、まだ具合が悪そう。
私も自分のお客様の接客中だったのですが責任者の所に行き、彼女が具合が悪そうな事を伝え、休憩を入れてあげるようににお願いしました。
快く責任者が彼女が介抱してくれました。
色んな問題を抱えている彼女なだけに私も自分の事様に彼女の事が心配でしたし、どうしても気になります。
その日の営業が終わると同時に、店内で横になっている彼女のそばにいきました。
「大丈夫?珍しいやんか。こんなにしんどそうなん。」
「そうやろ。最近毎晩親とか彼と話し合いばっかりで、寝不足もあるねん。多分。」
「それにしても、顔が真っ青やから、びっくりするやん。」
「ごめんごめん。」
「大丈夫ならいいねんけどな。無理したらあかんで。」
「わかってる。それよりな、私心配な事あるねんな。」
彼女がそう言った時、物凄く嫌な予感がしました。
次の日に1日遅れのバレンタインを過ごすため、私は家族で水族館に行く予定。
いつもより早起きしなければならず、子供達も楽しみにしていて、主人もアルバイトを休んでくれていたので、台無しにはできないという思いもあって、その日はゆっくり彼女の話を聞くことができませんでした。
寝る間を割いて本当なら彼女の話を聞いてあげたい気持ちもあったのですが、どうしても家族の事を優先したいという気持ちでした。
「ごめんね。明日子供らと出かけないとアカンくて、約束してるねん。やから話聞くの明後日でいいかな?多分その心配事、すぐ終わる話じゃないやろ?」
「そうやねん。ゆっくり聞いてほしい。明後日店終わってからでいいよ。」
彼女がそう言ってくれたので、翌日の水族館の為、私は急いで帰宅しました。

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若くして二児の母になった私は風俗の世界に飛び込む決断をしました。夜の世界の「光」と「影」を自身で経験しました。家族を守るため、風俗とともにがむしゃらに駆け抜けた6年間の濃密なコラムが皆様の元気に変わればと思い執筆活動を続けて行きますのでよろしくお願いします♪ Rie♡"

 
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