エピソード

【10話】私の運命は客の手の平の中に…。

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880万円...。
この数字から私の風俗の物語は始まります。
第1話はこちらからご覧ください。

覚悟と不安

その時まで色んな出来事を見たり聞いたりしてきて、ヒヤヒヤする事は沢山あったのですが、どんなに劣悪な環境でも私は絶対に大丈夫という気持ち、負けない自信がありました。
店側の思惑に乗せられない様にと、気を抜かない様に最善の注意を払ってました。
現実的に負けては家族を守っていくという目標が果たせないので、何があっても食らいついて、その場所でやり切る覚悟はできていましたが、接客している最中の出来事、トラブルに関しては、店側が最低限キャストを守るのが普通だと私は思っています。
前回のお話をさせて頂いた通りそれはあっさり覆され、お客様とのアクシデントやトラブルもキャストが全責任を負わないといけないという事、責任を負ってもさらに上乗せされた何らかのペナルティーがある事がわかり、私は不安でいっぱいになりました。
それでも時間は止まってくれませんし、絶対に出勤しなければなりません。
私は不安な気持ちを押し殺して出勤し、神経質な位に客層を気にするようになりました。
お客様の年齢、泥酔していないか、外国からのお客様ではないだろうか、お客様の席につくまでの間、接客方法をしっかり頭の中で考え、失敗のない様に何度も頭でシミュレーションしてから席についていました。

私の運命は客の手のひらに

お店のキャストとのトラブルやアクシデント、そしてお客様からのクレームは100%の割合でフリーのお客さまからでした。
お店の女の子vsお客様の関係ですが、やはり人間同士なので、それはどうしても付きまといます。
しかし私が勤めていたセクキャバに関しては、トラブルの理由なんてものは関係無く、お客様とトラブルにならない様に、お客様を怒らさないように、上手くトラブルを回避するスキルが必要でした。
そのスキルを店側もキャストに要求していたように思います。
それが出来なければ鎖骨を骨折し、血まみれになっていた女の子の様に『お前、使えん』と言われる羽目に。
もしそんな事を言われようものなら、稼ぐことが出来ないようになりますし、搾取のターゲットになってしまいます。
私だけではなく、当時キャストとして働いていた子たち皆大きな不安を抱えていた事でしょう。
観光地ということもあったので、お客様が外国人だった場合、全く日本語を話して貰えないまま、もはや何処の国から遊びに来られたのかも分からないお客様に、トラブルを避けるためジェスチャーなり、笑顔なり、必死に接客します。
それもこれも、どんなトラブルでもお客様が怒ったりクレームをつける事は、キャストにとって死刑宣告だからです。

クレームにならないためなら痛みも我慢

週末で店内が込み合っていた時、団体のお客様が来店されました。
60代くらいのオジサンたちの酔っぱらい軍団で、そのうちの一人に私はフリーでつきました。
かなり飲んでいるように見えましたが、まだ会話はできましたし、泥酔の危険ラインではないと、私は思っていたのですが、そのお客様についたばっかりに、私も病院に行かなくてはならないレベルの負傷をすることになります。
会話ををしつつ指名交渉をしながら、当たり障りのない、何の問題もない状況だったのです。
突然お客様が、私の乳首を噛んできました。
それも、契れるかと思うくらいの強烈な力で。
冷汗が止まらず、それでも痛いとは言えず、頑張って笑顔でやり過ごしました。
今思えばその時、すぐ手当てなりの応急処置ができていたらた、何とかなったのかもしれません。
その団体様は数時間お店で遊んで行かれました。
その時には私の痛みも強くなり、男性スタッフにバレない様に、こっそり氷で冷やしましたが一向に痛みは治まりません。
その日の営業が終わってからも痛みは酷くなるばかりでした。
出血もしていなかったですし、見た目には大丈夫だと思っていたのですが、帰宅してから解熱鎮痛剤を服用しないと眠れないくらいの痛みになっていました。
主人にも勿論言えないままです。
次の日朝も痛みで目が覚め、服を脱いでみると乳首が20倍くらいに腫れ上がり、色も梅干しの様な色になっていました。
また解熱鎮痛剤を飲み、子供の用事や家事をこなさないといけないので、痛みをこらえて、時々座り込みながらも痛みに耐えました。
本当だったらその日の出勤なんてできるはずもありません。
しかし、その理由なんて通りませんし、休んでしまったらその日の給料がなくなる所か、その日を境にマイナスの下降線を辿ってしまいます。
とりあえず、患部にはガーゼを当てて、出勤せざるを得ない状況でした。
出勤中は乳首をガーゼで覆ったら、裸の体を触りに来ているお客様のクレームにつながり兼ねません。
それでも20倍に腫れ上がった乳首をお客様に見せるのもクレームになってしまうかもしれない・・。
半分だけ服で覆うような形で、座る向きを試行錯誤しながら、お客様にも気が付かれない様に、普段の数十倍のトークで乗り切るしかありません。
男性スタッフにもガーゼで覆っている事を隠していましたが、どうしてもお客様にガーゼを隠せないときは、ケガをしている事を慎重に話をして、謝りながら理解を得ていきました。
しかし、お客様や男性スタッフの目をクリアしても痛みは増し、いつ倒れてもおかしくない状況の中仕事をし続けました。

乳首が皮一枚で大ピンチ!!

そんな出勤を3日間ほどしたと思います。
朝にその日も痛みで目が覚め、乳首を見てみると少しだけ濡れていました。
よくみてみたら、乳首の根元に亀裂が数ミリ入っていてそこから膿が流れ出ていました。
びっくりしてさすがに朝一番で病院に。
病院に到着し診察の頃には、亀裂が大きくなっていて、そこから膿がどんどん出ている状態でした。
病院では、目に見えない傷から黴菌が入り、炎症を起こしていますとのことだったのです。
病院で膿を出してもらったら痛みは治まりましたが、乳輪の上で乳首が皮少しで繋がっているような状態でした。
要は乳首が取れかけていて、乳輪しかない胸になりかけている状態でした。
『これは取れちゃったら形成外科で再生手術だからね。皮一枚で繋がってるから。とれないようにしないとダメだよ。怪我をしたら菌が回る前に、消毒はすぐしないといけないのは基本だよ。』
病院でそれを言われ、抗生物質の注射をしてもらい、薬も塗り薬と、飲み薬何種類か処方して貰いました。
噛まれた後に、早くに消毒をしておけば、こんなことにならなかったと言う後悔の気持ち、主人に申し訳ない気持ち、出勤するのが怖い気持ち、色んな思いが入り混じりました。
乳首が取れてしまっては、裸になるセクキャバでは当然働けないですし、辞めるとなれば、色んなペナルティーが待ち構えています。
そして何より怖いのが、家族の為、子供の為に決心した債務整理の手数料が払えなくなります。
法律事務所の約束の税金の支払いの約束もありますので、本当に困ってしまい、途方に暮れるという感覚を味わいました。
第11話につづく...。

若くして二児の母になった私は風俗の世界に飛び込む決断をしました。夜の世界の「光」と「影」を自身で経験しました。家族を守るため、風俗とともにがむしゃらに駆け抜けた6年間の濃密なコラムが皆様の元気に変わればと思い執筆活動を続けて行きますのでよろしくお願いします♪ Rie♡"

 
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