【19話】毎日のように同伴する彼女の秘密




880万円…。

この数字からこの物語は始まります。

第1話はこちらからご覧ください。

切羽詰まった彼女を見放せない

世間一般の女の子は必要最低限生活するために、大体毎月どれくらいのお金が必要なのでしょうか?

私は結婚生活を既に長くしていたのと、家計が火の車というのもあり、独身の女の子の大体の必要な予算と言うのが全く分からない状態でした。

彼女と食事した時に話をした内容を思い出しても、浪費家という感じでもなかったですし、貢ぐ相手も現在は居ない様子でした。

搾取されていたとしても、現金では50万以上のお給料をもらっているはずです。

私の様に家族を養う大黒柱では無い20代の彼女には、多すぎるおこずかいはあるはずです。

何か彼女に良からぬトラブルがあったのかとさえ、思いました。

翌日のお昼過ぎ自宅での掃除中に、彼女から電話がありました。

嫌な予感はするものの、私の気持ちは既にほっとけない状態になっていました。

「昨日は急に無理なお願いしてごめんね。」

「うん。何かあったのかなって…心配してんけど、言いたくないかもやけど…その数万円が必要な理由良かったら教えて欲しいねんな。」

しばらく彼女は黙ってました。

恐らく、どこから話そうかと彼女なりに考えていたのだと思います。

その時の私の心は決まってました。

しっかり話を聞いたらどんな話であれ、今回は貸してあげたいと思ってました。

切羽詰まった彼女の声で、私にしかお願いする人が居ないのでいうのが簡単に想像出来たから。

しかしお金を貸すからには、理由を聞いてからと思いました。

セクキャバの同僚である私にお願いしてくるという事は、他でも借金があるかもしれません。

クレジットのキャッシング枠がもう一杯のおそれと、サラ金にも借り入れ限度額まで借りていて、借りれない状態なのかとも思いました。

「実はな…」

彼女のお客さんはお客さんではなかった

彼女の話を聞いて愕然としました。

彼女の生活は限界で、私の予想通り資金繰りもパンク寸前でした。

彼女のお客様との同伴出勤はほぼ毎日が違うお客様とですが、費用は彼女負担でお客様にお願いして来て貰っていると、彼女は話をしてくれました。

同伴の料金も同伴前に行くホテル料金も彼女がお客様に支払って、お客様には時間を使って貰うだけだったようでした。

それでも彼女が同伴にこだわっていたのは、店側からの必要以上のプレッシャーが怖かったからでした。

何か月もの間彼女はお客様が支払う分を全額負担して、もはや何のために働いてるか本人も分からなくなっていました。

彼女の勤務が週に5日出勤として、毎日彼女がお客様に安く見積もって4万程負担していたとしても1ヶ月で80万はかかる事になります。

50万をお給料として貰っていても30万の赤字です。

彼女が頑張ってセクキャバで耐え忍んで貯めた約400万の貯金も、お客様に同伴で来てもらうために使い果たし、借金も数社合計で300万ほどあるそうです。

返済に明け暮れていた様な感じの話をしてくれました。

私にしてきた借金の申し込みも、返済に当てないと焦げ付くからだった事がわかりました。

彼女はセクキャバで働き思考回路が壊れてしまったのです。

出勤する度に借金が増えるのですから、おかしな話ですよね。

そこまでしても店側からかけてくるプレッシャーを回避したいという気持ちは、分からなくも無い気もしました。

しかし借金して成績を維持するのは限界があります。

お金を出さずに遊ぶ事に慣れたお客様はもう、彼女にはお金は落としてはくれません。

そうなれば、もうお客様ではありません。

「私お金、5万だけなら貸せるよ。けど、来月またどうするの?」

「わかってるけど、来月より今月が困るのが嫌やねん。返せないと空いた枠の分また借りれなくて同伴ももう出来なくなるやんか。それが一番怖いねん。ほんまにお願い!ちゃんと返すから…。」

「毎月の返済って、合計はいくらくらいなん?」

「43万くらい毎月返さないとアカンねん。」

借金の自己破産の手続きをしてる私が言うのも何なんですが、このままでは絶対にその借金スパイラルからは抜け出せないことも分かります。

私の自己破産の話をしようか迷ったのですが、自分を守る為に話をすることは出来ませんでした。

しかし彼女の人生の話を聞かせてと私が言っておいて、ほっておけないと思う気持ちが私の中で大きく存在しました。

友達からの借金と彼女の決意

その日、出勤前に店から少し離れているカフェで彼女と待ち合わせをしました。

そして今日は借金が増えるだけなので、同伴はやめておくようにと彼女を説得しました。

カフェに来た彼女は店で見るよりも元気なく、うつむき加減で申し訳なさそうな表情で私の前の席に座り、開口一番に

「迷惑かけて、ほんまごめん。」

泣きそうな彼女をどうしたらいいのか私も分からなかったのですが、私は鞄から5万円が入っている封筒を出して、彼女に渡しました。

「あんな私だって足し算引き算はできるねん。やから私が5万貸した所でどうにもならない事は分かってる。けど、今月はこれで助かるならこれで逃げ切ってほしい。でも今月中に方向転換した方がいいよ。絶対に。このままやと潰れるで。」

「わかってるねん。ほんまは。嫌やねんこんな生活。」

彼女は頷きながら、静かに泣いていました。

恐らくお金に困っているとかの涙ではなく、もう生き方に困っているという感じに思えて仕方ありませんでした。

素直で優しくて人の好さが故にそうなってしまったのだろうと。

そもそも彼氏のパチンコ資金を稼ぐために、彼女が勇気を出して風俗業界に飛び込んだそうです。

たまたま店で働いているボーイの見せかけだけの優しさに騙され、あっという間に色管理。

ボーイに協力したくて枕営業を始め、ボーイに捨てられた後もお客様との関係を断ち切れず、しまいにはお客様に申し訳無い気持ちが出てきて、彼女が負担をし始める。

優しいだけでは本当に生きてはいけない世界に、間違って飛び込んでしまったという感じです。

いつも誰かの為と思って、彼女なりに一生懸命に考えたのだと思います。

けど彼女のいる世界には彼女を思ってくれる人が居なかったのです。

そして自分の為に生きる事が彼女は出来なかったのです。

その日私は彼女と出勤しました。

その時の店のスタッフ達は、いつも同伴出勤してくる彼女が同伴出勤ではない事で、彼女に対しての痛い視線を浴びせました。

恐らくこのまま彼女が明日も、同伴出勤しなければ彼女は搾取の対象になり、ただ働き同然で在籍することになることは分かっています。

すんなり辞めれる方法を彼女も模索していたとは思いますが、色んな縛りがある中で正常な考えは中々出てくる事は無かったのかもしれません。

営業中の待機場所で彼女は、私に決意したように言いました。

「私明日も同伴の約束してるお客さんいるねんけどな、断る。明日も同伴せーへん。」

本来それが、彼女にとって1番良いとは思いましたが、彼女はそれで大丈夫かなと、心配にもなりました。

「うん。大丈夫?スタッフら、怖くない?いける?」

「うん。ほんまは凄い嫌やったから。もう借金増やすのも嫌やし普通に生活したい。もう友達にお金借りないとアカンって事は限界ってことやん。明日から同伴しなくても新規のお客さんから指名取ってお給料維持できるようにやってみる。接客も面倒くさがらずにやってみよって思う。」

彼女が少し前を向いた様な気がして、嬉しい気持ちにもなりました。

私は結婚生活の生活費からの借金がきっかけですが、借金のきっかけはほんのボタンの掛け違いくらいのことがきっかけになる事もあるのだなと、彼女を見ていて思いました。

しかしそんなに甘い店ではありません。

彼女が歩き出そうとするのを邪魔するかの様に、色んな事を仕掛けてきます…。

@NAISHO

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Rie

若くして二児の母になった私は風俗の世界に飛び込む決断をしました。夜の世界の「光」と「影」を自身で経験しました。家族を守るため、風俗とともにがむしゃらに駆け抜けた6年間の濃密なコラムが皆様の元気に変わればと思い執筆活動を続けて行きますのでよろしくお願いします♪ Rie♡”