880万円...。
この数字からこの物語は始まります。
第1話はこちらからご覧ください。
歪んだ親子の関係がもたらす影響
私が経験した風俗業界で、歪んだ家庭で育った為に苦しんでる人は思った以上に多いと感じました。
幸せなはずの婚約期間が、どうも苦しそうに見えた彼女もそうです。
おかしなくらいの母親信仰…。
彼女の結婚に邪魔なのは彼女の母親と、その母親を止めない父親にある事は明らかでした。
そもそも彼女が風俗であるセクキャバで働くのも、両親をお金で苦労させたくないからという理由だったので、そこからがそもそもの間違いです。
お金さえ両親に入れたら「ありがとう。」「貴女のおかげよ。」「うちの娘は良い子」そう彼女は両親から言われ、彼女は嬉しくなっていたのでしょう。
しかし母親に認めてもらいたい、承認されたいという気持ちが強すぎるように見えました。
本来結婚が決まらなくても、彼女に関しては風俗で働く理由なんてなかったのです。
自分の人生をなげうって、両親を喜ばせようとするのは親孝行ではない。
一度結婚に失敗し出戻った事や、十代の頃迷惑をかけたというのも、彼女にとったら両親への負い目になっていたのかもしれません。
出戻ってしまったから、十代の頃に迷惑をかけたから、その分を返すために自分の人生より両親の人生を明るくしていこうというのは、間違いだらけでした。
両親ならば娘に対して辛かった分より幸せになって欲しいと思わなければいけないのにな、と、そんな風に私は思ってしまいました。
しかし問題なのは彼女が両親を大好だと思っている事です。
セクキャバを辞めないで新妻とセクキャバ嬢の両立
彼女の結婚の話はそれでも進んでいきました。
新居も彼女の両親の要望通り、徒歩ですぐの場所に決めた様子。
婚約者の彼に対しては両親と俺とどちらが大事なんだ?と言われていたので、彼女はさずがに両親の事ばかりの要望を彼に言うのは控えていた様でした。
そのため彼女は日に日に疲れていきます。
彼の婚約者としてやらなければいけない事をし、セクキャバで売れっ子を務め、両親にとって良い娘をしていましたの。
普通の感覚では出来る事ではありません。
「私、面倒くさいって思うねん。最近。」
「」そりゃそうやんか。彼を巻き込んで両親のご機嫌とってるみたいやん。」
「お母さんが怒るのが、私めちゃくちゃ嫌やねんな。」
「間違った事してないのに怒るのは、お母さんの希望に添えないからやろ?それって普通にお母さんのわがままやん?」
「結婚式もな海外でしてくれるって言うてくれてん。それはめちゃ嬉しいけど、うちの両親や妹を皆連れて行ってくれるのが条件ってお母さんが言って。」
「2人でもよくない?ややこしいし。」
「いや。お母さんがそれは怒ると思う。」
何でも、どんな事柄も、まだまだ彼女は母親を軸にしていました。
セクキャバを辞める事もまだ、責任者に言う事は出来ていない様子でしたし、結婚してもしばらく継続するという決意を彼女はしている様子です。
そして結婚式は海外となったのですが、身内だけの小さな式にすると報告がありました。
彼の両親、親族は呼ばない。
彼女の両親や姉妹が結婚式に出席という奇妙な海外挙式になると、彼女は話をしてきました。
「けどな、うちの娘は親孝行な子って近所や親せきにお母さんが言って回ってるねん。お母さんもお父さんもな、海外に行ったことないからそれも嬉しいみたい。ちょっとそれで私もホッとしてん。」
私は婚約者の彼の事が心配になりました。
この異常さは私が感じる以上に、婚約者の彼の方が遥かに感じているはず。
何処まで彼が頑張ってくれるかに結婚はかかっているなと、そう感じたのです。
婚約者の彼はその後もセクキャバに彼女指名で来店し続けました。
婚約者がセクキャバで働いているので心配なんだろうって事も理解は出来ましたが、彼がこれからどうやって彼女を幸せにしていくのかは、想像できませんでした。
実家に後ろ髪をひかれる思い
彼女を見ていると自分がつかんだ幸せであっても、実家の家族を残して自分だけが幸せになってはいけないという思いこみに、両親が付け込んでいる様に見えます。
家にお金を入れないでいたら妹達が、次はお金を入れないといけないのじゃないか?とか、お父さんにちょっとしたお小遣いを渡してくれる人はいるんだろうか?とか、お母さんが寂しい時は誰が寄り添うのだろう?とか。
そして段々実家に対して結婚という行為が悪い事をしているように感じている訳なのですが、それは本当に両親が余りにも親としてなっていないという事を、そんな両親でも大好きなばっかりに彼女は中々認められずにいたのです。
後ろ髪惹かれる思いで嫁にいくという、本当に見ていて悲しいものがありました。
私の記憶が甦る
彼女の結婚においての問題で、どうして私が彼女にそこまで思入れがあったのかと言うと、私の姉も実家に後ろ髪を引かれる思いで、当時15歳だった私を残して嫁いだという事があったからです。
姉は結婚した時私が家族から酷く虐められないかという事ばかりが頭にあったと思います。
父親、異母姉妹、家政婦が、どうやって多感な年頃の私を見るのだろうと、心配で仕方なかったはずです。
当時摂食障害で私の体もボロボロでしたし、父からの暴行や彼氏からの暴行もありましたし、家政婦や異母姉妹からの虐めは絶好調。
頼りにならない父親に妹を任せるというのが、姉は苦しかったと思います。
結婚式の当日、夜にベットに入ろうと布団をめくったら結婚式の前に書いたであろう私宛の手紙が入ってました。
「絶対に負けたらあかん。何かあったらすぐに電話してきて。」
そう文章が始まりました。
2枚ほどの手紙を読み切って大泣きしたのを覚えています。
そして姉は結婚式をした翌日も実家に来て私の様子を、旦那様となった人と一緒に見に来てくれました。
新婚両行に1週間行った後もまず、私の所に来てくれました。
そんなことばかりしていたら新婚生活がだいなしになってしまうのではないか?それ位、私の事を心配しての結婚だったのです。
結婚してからも姉は秘書の仕事を継続していました。
姉は実家から務めていた会社まで電車で20分。
新婚生活を送るマンションも別の沿線で会社まで20分位の距離だったのですが、結婚して数か月経っても会社が終わったら無意識で新しい生活を送ってる新居ではなく、実家に帰って来てしまってました。
それは自覚ないまま。
実家に帰らなくては私がどうなっているか心配という気持ちだったのではないかと思います。
それでも自分の幸せを考えるから、実家は心配ではあるが結婚をしたのです。
しかしそんなことばかり言いすぎたり、実家に帰って来すぎて旦那様になった人とは、私が原因でよく言い合いにも喧嘩にもなっていた様でした。
本来その心配をさせずに、安心して娘を嫁がせるのは親の仕事なはずでしたが、父がしていた事は真逆だった為、姉は不安しかない中自分との幸せと実家の私の心配を天秤にかけながら辛い新婚生活を送る事になります。
彼女を見ていると、そんな私の姉を思い出しました。
自分が居なくなると、どうなってしまうんだろう。
暴行こそする人間は居ないにせよ、母親として機能していない母親、父親として機能していない父親がいる家に妹達を残して嫁に行くことが、本当にいい事なのか。
本来しなくても良いはずの心配をしていたのでした。
セクキャバで稼いだお金で母を慰め、父を慰め、妹達に被害が行かない様に彼女はずっと無意識で頑張っていた訳です。
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