エピソード

【56話】ついに完結!!人生最良の日

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880万円...。
この数字からこの物語は始まります。
第1話はこちらからご覧ください。

生き方を考えた私達

主人の面接の前日は、私はいつも通りの出勤をしていました。
責任者に私の進退をそろそろ話をしなければいけなかったのですが、もし主人の就職活動が長引くことになると、まだセクキャバで食いつないで行かなくてはいけません。
私の都合だけを店に伝えるのも言いにくい部分があり、迷っていました。
その頃同僚のキャストには週に1.2回勤務の子達も沢山いて、「その子たちの様に出勤を減らしたらどれくらい稼げるのか?」という計算もしていました。
出勤日に必ずお客様に来店の約束を取り付けれたら、時給のアベレージは保てるので、週に2回の出勤で1ヶ月25万〜27万は稼げる見込みがあります。
私が出勤数を減らしたとしても、主人のアルバイトの収入と合わせて、そこそこ暮らして行ける金額にはなるので、「いざとなったらそうするしかない」と思っていました。
主人の面接の合否で私がセクキャバの責任者に伝える事は変わってきます。
とりあえず今はこのままで、明日の面接のお休みだけをお願いしようと、責任者に翌日の休みだけを伝えました。
その日の接客はいつもの様に務めましたが、内心は明日の主人の面接でソワソワ落ち着きません。
主人の面接の結果がどうなるか次第で、家族の生活は変わり、私もセクキャバを辞めるのかどうかがはっきりします。

面接当日

そして翌日。
主人は私のプレゼントしたスーツを、初めて着ました。
長らくクローゼットにあったので私も忘れかけていたのですが、何だかとても嬉しい気持ち。
『頑張ってきてね。ちゃんと子供ら見てるしね。』
『うん。また終わったら、連絡するわ。』
主人は恐らく不安だったでしょう。
しかし後に引けない気持ちでもあったはずです。
私は私で「この為にセクキャバで頑張ってきたのだと」、その時の気持ちをしっかり噛み締めました。
結果がどうであれ、主人が動いてくれた事、前に進もうと家族の為に行動に移してくれたことに意義がありました。
大の大人が子守だけで働き盛りの時期を費やさせてはいけないという、責任感が私にもあり、ようやくその気持ちから解放されたような気分で見送ります。
3時間程すると、主人から連絡がありました。
『そこの会社の人とご飯食べて来るから。なんか面接担当の人かって思っていたら、社長さんみたいで。』
主人からの電話で話はそれだけ。
「主人にとって建設的に話が進んでいたら良いのに」という気持ちがあったので、もっと詳しく話を聞きたかったのですが、それだけで電話は切れてしまいました。
子供達と留守番をしながら『お父さんまだかな~』と、子供と遊ぶことで心を紛らわしていましたが、留守番の時間はとてもとても長く感じました。

人生最良の日

先ほどの主人の電話から2時間立った時、電話が鳴りました。
『明日から来てくださいって、言われてな。内定なんかな?めちゃ早くに決まったみたいで。とりあえず、明日からみたいや。』
主人も何が何だか分からないような状況。
『とりあえず入園式は休ませて欲しいて、先に言うておいたから!詳しい事は帰ったら言うわな。』
その日のうちに主人は内定を貰って帰ってきたのです!
主人の話によると、主人の過去の経歴でほぼ内定は面接前から決まっていたとの事でした。
そして課長クラスのポストが最初から用意されての入社になるとの事。
私は喜びもあったのですが、明日のセクキャバ出勤はどうしようという事が真っ先に浮かびました。
しかし主人の取れる休みの日に出勤する形を取るしかないと思い、責任者に連絡。
どうしても出勤することが出来ない旨を伝え、出勤が今後減って行きますという事も伝えました。
翌日主人は朝から仕事に行き、私は子供を見る1日。
夕方の時間帯はセクキャバへの出勤準備をしなくても良い。
夕食を作って子供と一緒に主人を待つという事が出来るようになったのです。
毎晩浴びるように飲んでいたお酒も飲まなくていい。
お風呂も子供と一緒に入ることができる。
何気ない日常がとても久しぶりで、新鮮に感じます。
そして体も心も力が抜け、生活の変化を家族全員で感じました。
セクキャバの責任者も色んな事情を察してか、深く理由も聞いて来なかったのですが、
『めっちゃ今まで店に貢献してくれてたもんな。来れるとき、連絡してな。』
そう言ってくださって、とてもホッとしました。
「お客様からは変わらず連絡を頂いていたので、次回の出勤には連絡します。」と返信をしておきました。

母親として

主人はその会社に上手く馴染みました。
そして間に下の子の入園式の日を迎えます。
幼稚園の制服を着せて準備をしてから、私は美容院で着付けをしてもらい、着物で出席をしました。
子供の手を引いて幼稚園の門を見た時、今まで大変だった事全部を思い出し、色んな感情が溢れてきました。
小さかったこの子を残し、夜仕事に行かなければならない辛さ。
どうしてもセクキャバの出勤を休むことが出来なくて、一時預かりの託児所に預け、子供達を泣かせた事。
食べて行く為と諦めて働いた日も、この子の為とやる気を出して頑張った日も、全ての出来事が肯定された気持ちでした。
普通の生活を営むために裸になり仕事をしてきましたが、あれから結構な時間が経過していました。
歩けなかった小さな子がしっかり自分で靴を履き、自分で歩いて入園式では行進しているのですから…。
その成長を私は時間や生活に追われ、ゆっくり見てあげる事ができなかった事は、今になっても申し訳ない気持ちがあります。
子供2人に風俗業界で働いていた事は一生言わないでしょう。
体を張ってでも家族や2人の子供を守ろうとした気持ちだけは、誇っていても良いのかなとも、今となっては思います。
今2人の子は小学生と中学生になり、時々言います。
『お母さん。昔居なかったよな。どこいってたん?遊んでたん?』
物凄くドキッとします。
『あの頃お父さんいつも夜居たよな?仕事暇やったん?いつもな、お母さん居ないから、ワイワイ騒いでな、3人で楽しかってんな~。』
それもドキッとします。
長男はもしかしたら何かを気が付いていたのかもしれません。
大きくなった今、もしかしたらお母さんは仕事に行っていたのかも?程度には思ってるかもしれません。
しかし時間がある程度経過して、家族の中ではその頃が昔の話になっている事は感じます。
借金で本当に大変だったあの頃を、何とか乗り越えれたのは、あの店やセクキャバ嬢という仕事、沢山のお客様のお陰でした。
子供を悲惨な目に合わせる寸前で、ギリギリ飛び込んだセクキャバでしたが、何とかやり切ったのは、やはり大きな目標がブレなかった事かもしれません。
諦めていたら私は主人と離婚していたかもしれません。
子供と一緒に居る事すら難しかったかもしれません。
その後も『出勤は出来るときにします~。』という感じでお店に伝え、下の子が年長さんの時は数回主人の休みに合わせて出勤しました。
その頃の私は生活の大黒柱というプレッシャーから解き放たれたので、現役レギュラーの頃とは比べ物にもならない様な成績でした。
同僚の女の子とはまだ数人連絡しており、それぞれがセクキャバでの役目を果たし、仲良くしていた子達もそれぞれの生き方をしています。
END.

目標は諦めない事

今回の56話で借金のお話は終わります。
お付き合い頂きありがとうございました。
風俗業界には様々な事情を抱えた女の子がたくさんいます。
今が辛いかもしれないし、逃げたしたくなる事だってあるでしょう。
しかし目標は諦めなければ必ず達成できる、ということを知っていてください。
少しくじけてしまっても、また立ち上がれば大丈夫。
これからもNAISHOで、皆さんの為になる情報を発信していきますので、よろしくお願いします。

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若くして二児の母になった私は風俗の世界に飛び込む決断をしました。夜の世界の「光」と「影」を自身で経験しました。家族を守るため、風俗とともにがむしゃらに駆け抜けた6年間の濃密なコラムが皆様の元気に変わればと思い執筆活動を続けて行きますのでよろしくお願いします♪ Rie♡"

 
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