エピソード

【26話】夜職の母親たちを苦しめる魔の夏休み

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880万円...。
この数字からこの物語は始まります。
第1話はこちらからご覧ください。

夜職の母にとって夏休みは修行

私の長男が小学校に入って初めての夏休みがもうすぐ始まるという頃、京都は祇園祭の頃でした。
夏休みが始まりそうな子供を持つお母さんは、働くセクキャバ嬢の中には沢山いました。
小学校に行っていれば、児童会と言うのあります。
少しの費用はかかりますが、お母さんが働いていたらお留守番は低学年だとなかなか出来ないので、夏休みも夕方までは小学校で勉強したり、お友達と過ごしたりできます。
しかしセクキャバは夜から勤務の上、そんな申請は書類上できませんので、恐らく風俗や水商売も同じで夏休みは昼間の間、子供達とずっと過ごす事になります。
そうなるとお母さん達は学校に行っている時間に睡眠をとっていたのが、夏休み中はお母さんの睡眠時間は自ずと短くなり、子供の世話、食事の支度をするとほぼ寝れない状態になってしまいます。
春休みも冬休みも同じなのですが、夏休みは40日あるので冬休みとは全然長さが違います。
「夏休みは本当に長い修行みたい」と、同僚のシングルマザーが言ってました。
通常の昼間の仕事をされているお母さんも、夏休みはそれなりに大変でしょう。
夜に働いているお母さん達は子供が家に居るので、普段学校でしている学習や食事の支度をお母さんがしなくてはならず、体力も精神力もギリギリになっているお母さんは多いです。
私の子供には保育園ではなく、幼稚園に行かせていたので、しっかり夏休みが40日ありました。
そのおかげか少し慣れてはいました。
保育園の場合は世間の夏休み期間でも、お盆休み期間でも預かってくれますので、保育園から小学校に上がった子供を持つ水商売、風俗業界のお母さん達は本当に大変そうでした。
京都との熱気とは裏腹に、水商売や風俗業界のお母さん達は段々元気がなくなってきます。

学童保育にも不正の手が・・・。

そこでも不正な申請をしているお母さんもいらっしゃいました。
精神疾患の為生活保護を受給していて、子供を日中見ることが出来ないという理由にして、児童会に夏休み中も子供を学校に通わせていました。
学校側は書類上そう記載されていれば子供を夏休みでも見てくれます。
それを当然の権利の様に得意げに話をするというのには呆れました。
50万以上の収入を得ているだろうと思う人が、生活保護の不正でお金を受給し、なおかつ生活保護受給者なので無料で児童会を利用します。
児童会には枠があり定員が決まっていますが、弱者優先なので働くお母さんよりも、書類上精神疾患を患って生活保護を受給しているお家が優先されるのです。
その不正のせいで日中働いてるお母さんの誰かが枠から外れる事になり、日中働くのを諦めるか日中の時間に塾や、お稽古に行かせて時間稼ぎをしなくてはならず、それも無理な人は小学校1年生であっても、1人でお留守番をさせなければなりません。
不条理な世の中だなと思ったものです。
生きて行く為に風俗業界に入ったはずであろうお母さん達が、いつの間にか人より楽をしたり、人より裕福になる事に執着しすぎた結果だと思います。
そのせいで誰かの事など考えられないという様になってしまうのです。
不正を働くには夜にお母さんが働いている事も隠さないといけないので、小さな子供にまで口留めをし、嘘を他人に付く事を強要しなくてはなりません。
小さなうちから自分さえよければ、嘘がバレなければ何をやっても良いという風に教育しているセクキャバの同僚を見て、絶対にそんな人たちと一緒にされたくないと、強く思ってしまいました。
確かに不正は通常の世間でもある事だとは思いますが、どうしても風俗業界や夜の世界には不正を働くには好条件が整っているのと、そんな事をしている人が割合的に多いので、罪の意識は薄れて行くとは思います。
しかし子供を持つ親でありながら、子供にまでその不正に加担をさせていることも不思議でしたし、その状態をいつまで継続させるつもりなんだろうとも思いました。

当たり前の事が凄いと思うようになった

その頃から、ニュースでも不正受給については取り上げられていました。
日本全体でも割と話題にもなっていましたが、店の中の不正受給者はどうやったら不正受給がバレないかという事が関心事だったようで、そんな話を楽しそうにしているのを聞いて、嫌悪感を抱いていました。
当時はまだリーマンショックの影響で景気もまだ悪かったからか、食べる事に困って無理心中をした家族や、家に食べるものが無くトイレでお母さんが亡くなっているのが見つかったニュースが印象に残っています。
その横で3歳の子供も寄り添うように亡くなっていて、解剖の結果胃の中から発泡スチロールが出て来たというニュースが当時は結構頻繁にテレビで見ていました。
そんな風に亡くなった人たちは、絶対的な確率で生活保護を受けていなかったと報道されているのです。
極端な例ですが、それ程過酷な状況の人がいると報道されて話題になっていたにも関わらず何処までも利己的な人たちのたまり場みたいに、セクキャバで働く人達の事を思っていました。
勿論不正を働かずにセクキャバで働いている人も沢山居らっしゃいましたが、そのお母さん達の事を、錯覚からか真面目に働いて子育てをしているという風に思ってしまいます。
しかし不正受給をしない事や国民健康保険料を払うのは真面目なのではなく、普通の事なのです。
私もマヒしていたせいか不正受給をしない事、病院で3割負担でお金を払う事が真面目だと思うようになっていました。
当たり前の事をしているだけなので真面目でも偉くもないのですが、その感覚を失う程に普通ではない感覚が蔓延していました。

不正をしていない人が辛い思いをしている

夏休みにはセクキャバで働くお母さん達は、どんどん疲れが溜まっていました。
睡眠時間もわずかで日中には子供の世話をし、食事を用意して夜は出勤します。
見ていて分かるくらいにどんどん顔色が悪くなっていきます。
勿論体力が減退するので成績にも響いたり、愚痴も聞いたりしました。
そして違う方のお母さんは通常通りの日常を過ごせて、二日酔いになるまでお客様とお酒を飲んでも日中は児童会に子供が行ってくれるので、睡眠時間は通常と同じ様に取ることが出来きます。
夏休みであろうが、何ら生活は変わりません。
この差はなんだろうなと思います。
今でもそんな思いで正直に働いているお母さんは、色んな面で苦労しているのだろうなとも思います。
男性スタッフでさえ、生活保護の不正受給は蔓延していました。
結婚していてもです。
お給料は同じように所得税は引かれていなかったのでしょうか。
収入でしっかり家族を養っていけても、余裕の暮らしをする為に生活保護を受ける人が多すぎました。
書面上では無収入で奥様がいて小さな子供がいて本人は精神疾患で、と言う事になります。
私が働いていたお店が特殊だったのかもしれませんが、多かれ少なかれ夜の世界にはそんな不正が簡単に出来てしまう様な材料が揃っており、誘惑に負けてしまったり引っ張られたりすると、罪の意識が無くそんな不正を働いてしまうという恐ろしい人間模様、現実があります。
その様子を、子供が見ていてどう思うのかなと、その人たちの子供が気の毒になってしまいました。
そんな風俗業界だからこそと、しっかり地に足をつけて頑張っている女の子達の方が、損をしている様子でした。

若くして二児の母になった私は風俗の世界に飛び込む決断をしました。夜の世界の「光」と「影」を自身で経験しました。家族を守るため、風俗とともにがむしゃらに駆け抜けた6年間の濃密なコラムが皆様の元気に変わればと思い執筆活動を続けて行きますのでよろしくお願いします♪ Rie♡"

 
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